fx-9860G登場

この型番からどんな電卓か見当がつく人は相当な電卓好きであろう。カタログはおろか、Webサイトにも載っていない機種である。が、実際には発売されており、先日入手した。しばらく使った感想を含め、紹介しよう。


fx-9860Gは、CASIOの関数電卓であり、関数のグラフを表示できるグラフ関数電卓である。fx-9850Gシリーズの後継機種となり、現行のfx-9850GC Plus(下記写真)の次に発売された。


関数計算機能、グラフ機能、プログラミング機能は9850と同等で、カラー表示からモノクロ表示になった。カラー表示の方が複数関数のグラフなどはわかりやすいが、全体的な視認性はモノクロの方が優位である。9860には新たに追加された機能もある。大きいところでは、数学自然表示、スプレッドシート表計算)、テキストファイルの作成機能が増えている。また、PCとのUSB接続ケーブル、対応機種間でのファイル送受信ケーブル、および、PC用ソフトウェア(英語版)が標準で添付されるようになった。価格は、量販店の実売価格で2万円程度である。


視認性がよくなり、数学自然表示対応になったことで複雑な式も入力がしやすくなった。好き嫌いはあるだろうが、入力時の応答速度もfx-370ESなどと比べて改善されている。数学自然表示はOFFにすることも可能なので、好みや用途に応じて使い分けるとよいだろう。また、BS/DELキーの動作がfx-5800Pやfx-991ESなどと統一され、[DEL]キーを押すとバックスペースとして動作するようになった。最近のCASIO機は皆この方式になり、わかりやすくなった(個人的には表示を[BS]にしてもらえた方がわかりやすいと思う)。


操作性についても、基本的には9850シリーズと同等だが、9850GC Plusよりはキーが押しやすくなった。ディスプレイも十分大きく、スプレッドシートも十分使える。スプレッドシートはその操作方法に癖があり、数式と値を切り替えて表示させるのだが、この切り替えが少し面倒である。数式はあらかじめ作成しておき、必要な際に値を入れて結果を得る、という使い方を想定しているようだ。電源は単四×4本で、アルカリマンガン電池を使用した場合で300時間とカタログにある。メモリ保護用のボタン電池はCR2032、日常的に交換する動作用電池が単四なのはランニングコストが安くてありがたい。本体裏面に電池ボックスがあり、ドライバなどを使用せずに簡単に交換できるようになっている。


メモリ構造は従来機種から変化し、Flash ROM 1.5MBの領域にプログラムやスプレッドシート等のファイルを保存でき、プログラムエリア等の63kB RAMと独立して使用することが出来る。グラフ機能もプログラムから制御できるので、大きなプログラムも安心して作ることができそうだ。使いこなせば便利に楽しめる機種であるのは間違いないが、初めて(9850シリーズをさわったことがない人が)さわるにはなれるまでに多少時間がかかるかもしれない。


大手量販店でも店頭在庫のある店は少ないようなので、店員に型番を告げて探してもらうとよいだろう。関数電卓好き、特にプログラム電卓好きには満足できる一台である。

CASIO グラフ関数電卓 CFX9850GCPLUS 仮数10桁
写真はfx-9850GC Plus
(fx-9860GはAmazonでは見つからなかった)